[東京 12日 ロイター] - SMBC日興証券の集計によると、TOPIXを構成する3月決算企業の2023年3月期の通期純利益予想は、11日までの発表分(622社、開示率42.9%)で前年比2.2%減だった。金融を除く場合は2.6%減。内訳は、製造業が同3.8%減、非製造業が同0.6%減。資源価格の高騰や円安進行などの外部要因が恩恵となる業種がある一方、業績が圧迫される業種もあり、明暗が分かれそうだ。
業績見通しを開示した企業は551社で、このうち純利益予想で208社が3月末時点の市場予想を上回り、334社が下回った。
全体をけん引するとみられるのは、リオープン(経済再開)関連の空運業、陸運業や、為替の円安の恩恵を受ける電気機器となりそうな一方、海運業、卸売業は前期の大幅増益の反動で、輸送用機器は資材高騰で、それぞれ全体の下押し要因になり得るという。
SMBC日興証券、株式調査部の安田光氏は「資材高騰などネガティブな側面がある一方で、為替の円安のプラスの側面もある。商品の値上げやコスト管理が引き続きポイントとなる」と指摘した。
会社側が発表する業績予想は保守的となる傾向があるものの、例年より弱気の企業が多く、想定為替レートも実勢レートからの下方乖離率が高いと、安田氏は指摘。「全体的に先行きが見通しづらい中、今後の調整を踏まえて想定為替レートを保守的にみておこうという機運が働いている可能性がある」と話している。実勢レート次第では企業業績の上方修正余地を示唆した。
製造業の代表格と目されるトヨタ自動車は、11日発表の企業決算で、2023年3月期の連結業績予想の前提となる為替レートを1ドル=115円(同112円)、1ユーロ=130円(同131円)としている。
2022年3月期通年の実績の純利益は、全体で83.6%増だった。金融を除いた純利益は88.8%増。内訳は、製造業が49.8%増、非製造業は240.5%増。卸売業、海運業など資源価格高騰やサプライチェーンの回復の恩恵を受けやすい業種が伸長した。一方、電気・ガス業は燃料価格や円安進行を受けた調達コスト上昇に伴い、前年比で減益となった。
5月11日時点で全体の42.9%に当たる622社が決算発表を終了した。
出所:SMBC日興証券
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