
【プレスリリース / 東京】 2023年10月18日(火) -- 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)は、役員報酬の算定に資本収益性や株価に関する指標を採用している企業の状況について、TOPIX100構成企業を対象とした調査を実施しました。
《 調査の目的 》
プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の企業が、ROE8%未満、PBR1倍割れという状況のなか、東京証券取引所は、2023年3月、各社の企業価値向上の実現に向けて、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて重要と考えられる対応」をとりまとめ、その積極的な実施を要請しました。本調査では、資本コストや株価を意識した経営を促進することを目的として、役員報酬の算定に資本収益性(ROIC、ROE)や株価に関する指標(TSR(株主総利回り)、株価・時価総額、PBR/PER)を採用している企業の状況を、有価証券報告書を中心とした各社の開示資料から調査・分析するとともに、今後の各社の取組の参考となるよう、具体的な事例を紹介することを目的としています。
《 調査結果 》
WTW リードアソシエイト 市川 晋平
- 役員報酬の算定において、資本収益性に関する指標を採用する企業の割合はTOPIX100構成企業の43%、株価に関する指標を採用する企業の割合は29%
- 資本収益性に関する指標を採用する企業の内、6割強の企業でROEのみ、3割弱はROICのみを評価指標とし、残りの1割はROEとROICの両方を評価指標としている状況
- 評価の反映先としては、LTIの方が多くSTIに反映する企業の2倍近い
- 株価に関する指標を採用する企業の内、約8割はTSRを評価指標としており、2割弱は株価・時価総額、1社のみPBRを採用している状況
- 評価の反映先としては、TSRとPBRを評価指標としている企業はすべてLTIで評価を行い、株価・時価総額の場合はSTIで評価を行う企業も見られた
- TSRの評価方法について、TSRを採用する企業の内、4割弱の企業で自社のTSRとインデックス成長率とを比較・評価し、4割強は具体的なTSR比較企業(競合企業等)における自社のTSRの優劣(相対的な順位)で評価し、残りの2割は両方を評価している状況
- 採用されるインデックスはTOPIXが多くを占めているが、一部では業種別TOPIXやJPX日経400を採用する企業も見られた
- 具体的なTSR比較企業を設定する場合は、国内だけでなく海外の競合企業を選定する事例もある
- 株価・時価総額評価は、絶対目標を定めるものではなく、成長率(変動率)に基づく評価が一般的
図3:競合企業との相対的なTSR評価(優劣・順位)を役員報酬に反映している主な企業(例示)
企業名 | 役員報酬の算定におけるTSR比較企業 |
---|---|
三菱ケミカルグループ | 売上高や時価総額等が同規模の国内外の化学、ヘルスケア企業 ※別途、インデックス(JPX日経400)との比較も実施 |
武田薬品工業 | 国内外のグローバル製薬企業14社 ※ファイザー、ノバルティス、GSK、サノフィ、アステラス製薬等 |
アステラス製薬 | 売上収益が0.5倍以上のグローバル製薬企業群 ※別途、インデックス(TOPIX)との比較も実施 |
塩野義製薬 | 同業他社の12社 |
中外製薬 | 国内医薬品企業11社 |
日立製作所 | グローバル競合比較対象企業群 ※別途、インデックス(TOPIX)との比較も実施 |
東芝 | 事業内容や企業規模等との類似性をふまえた11社 |
三菱電機 | 事業領域において競合する国内外の企業 |
ルネサスエレクトロニクス | 業界、企業規模、ビジネスモデルなどに鑑み選択する企業群 ※別途、SOX (Philadelphia Semiconductor Index)やTOPIX構成企業との比較も実施 |
オリンパス | 医療機器を事業ポートフォリオに持つ製造業もしくはGICSコードのHealth Careに分類される日欧米のメーカー20社 ※メドトロニック、テルモ、旭化成、シーメンスヘルシ二アーズ等 |
第一生命HD | 国内保険会社5社とグローバルで生命保険事業を展開し、日米市場等で競合関係にある会社5社の計10社 ※かんぽ生命、T&D、東京海上、アフラック、アクサ、マニュライフ等 |
三菱地所 | 同業5社 ※野村不動産HD、東急不動産HD、三井不動産、東京建物、住友不動産 |
日本郵船 | 競合他社 ※別途、インデックス(TOPIX)との比較も実施 |
《 コメント 》
WTW ディレクター宮川 正康
コーポレートガバナンス・コードが施行されて以降、中長期的な企業価値の向上を目的として、資本収益性や株価に関する指標を役員報酬のKPIとして選定する企業が徐々に増えている。WTWが毎年実施している大手日本企業300社超に対する調査においても、ROEやROICは長期インセンティブにおけるKPIとして最も多く活用されており、また、TSRを中心とした株価に関する指標も3番目に多く活用されている。
近年は、カーボンニュートラルの実現やDEIをはじめとしたサステナビリティ課題への対応に対する世間の注目度が高く、ESG関連指標を役員報酬のKPIとして採用する企業が急増している(TOPIX100構成企業の72%が採用)。他方で、今般の東証の要請にあるように、上場企業が株主・投資家の期待に応え、企業価値を高めていくためには、資本コストや資本収益性を意識したうえで、研究開発・人的資本やM&Aといった成長への投資を推進することも同様に重要であるところ、今後は、ESGだけでなく資本収益性や株価に関する指標を役員報酬の算定に活用する企業がより一層増えることが予想される。
なお、欧米では長期インセンティブのKPIとして、TSRを中心とした市場評価に関する指標が最も多く活用されており、S&P500や欧州主要インデックス構成企業の約6割~7割が採用している。
WTWについて
WTW(NASDAQ:WTW)は、企業に対し、人材、リスク、資本の分野でデータと洞察主導のソリューションを提供しています。 世界140の国と市場においてサービスを提供しているグローバルな視点とローカルな専門知識を活用し、企業戦略の進展、組織のレジリエンス強化、従業員のモチベーション向上、パフォーマンスの最大化を支援します。
私たちはお客様と緊密に協力して、持続可能な成功への機会を見つけ出し、あなたを動かす視点を提供します。
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