マツダCX-60の予約受注がついにはじまった。発売は今年9月が予定されており、さっそくディーラーに相談へ、という方も多いだろう。ただしCX-60は、非常に幅広い価格帯、数多いグレード構成を持っていて、全体像が掴みにくい。ぜひここで、まずは車種ラインナップのアウトラインを予習してみよう。
マツダCX-60は、新規に開発されたラージアーキテクチャーを使用したまったく新しい上級モデルシリーズとして、CX-5の上に位置する。とはいえ、価格帯は299万円から626万円と非常に幅広く設定されている。FR+縦置き6気筒パワートレーンを搭載しつつも、従来のCX-5オーナーからでもステップアップしやすい「カジュアルな価格帯」のグレード構成と、今までマツダ車としては存在しなかった「プレミアムな価格帯」のラインナップを併せ持つ、おおまかに二段階構成となっている。順を追ってみていこう。
パワートレーン軸で見たグレード構成
・25S 直列4気筒ガソリン 2.5L ・XD 直列6気筒ディーゼル 3.3L ・XD-HYBRID 直列6気筒ディーゼル 3.3L+マイルドハイブリッド ・PHEV 直列4気筒ガソリン 2.5L+プラグインハイブリッド
装備、仕様を軸としたグレード構成
・ベースグレード ・L Package ・S Package ・Exclusive Mode ・Exclusive Sports ・Exclusive Modern ・Premium Sports ・Premium Modern
XC60のグレードは、パワーユニットを示す4種類の名称(25S、XD、XD-HYBRID、PHEV)と、装備仕様を表す上記8種類の名称との組み合わせで示される。仕様を示す名称だけでも8種類もあるから非常に複雑だ。ただ、すべての掛け合わせが存在するわけではなく、基本的には2種類のピュアエンジン車が「カジュアルなライン」、電動アシスト付き車が「プレミアムなライン」と考えて良い。仕様グレードの上位4種類は、電動車のみにしか設定されていないのだ。トランスミッションは全車が新開発の8速ATで、電動車は全車が4WD、エンジン車は全グレードで、2WD(FR)と4WDを選べる。
パワートレーンごとの価格帯
25S(直4ガソリン) 2,992,000〜4,070,000 XD(直6ディーゼル) 3,239,500〜4,658,500 XD-HYBRID(直6ディーゼル+MHV) 5,054,500〜5,472,500 PHEV(直4ガソリン+PHEV) 5,390,000〜6,264,500
電動車はパワーユニットだけでなく装備仕様もグレードアップするから、エントリーモデルでも500万円を上回る。エンジン車が300万円から選べることを考えると、CX-60における電動車(マイルドHVおよびPHEV)は明確に上級プレミアムモデルとして位置付けてられていることがわかるだろう。モデルごとの価格差には相当な開きがあるから、選ぶべきパワーユニットは、予算の都合で自ずと決まってしまうとも言えるし、明確でわかりやすいとも言える。
競合モデルの価格帯
CX-60 299〜626万円 CX-5 290〜375万円 RAV4 277〜539万円 ハリアー 299〜504万円 アウトランダー 462〜532万円 CR-V 336〜455万円 レクサスNX 455〜738万円
参考までに競合車の価格帯はこんな感じだ。CX-60のエントリー価格「299万円」は、ハリアーのエントリー価格と完全に被る。一方で、最高価格の626万円はレクサスを除く他社にはまったく存在しない価格帯だ。アウトランダー、RAV4といった先行するPHEVと比べても、CX-60は100万円高く、ある意味、挑戦的な価格設定だと言える。従来のCX-5の価格帯もカバーしつつ、上は、レクサスの少し下までをカバーする。レクサスを除けば、国産最高価格帯に打って出るということだ。(クロカン車は除く)そのための最大の武器は、どのライバルも持たない直列6気筒エンジン+FRレイアウトのパッケージである。
バリュー・フォー・マネーなCX-60は「XD」か
CX-60は何より、完全新規のFRプラットフォームや縦置きパワートレーンなどが最大のトピックである。そうした基本パッケージが、CX-5やCX-8とは異なるフィーリングや乗り心地をもたらす。であれば、それをもっともリーズナブルに体現できるのは、323万円から選べる直6ディーゼルの「XD」だろう。そこには、FRプラットフォームも直6ディーゼルも全部あるからだ。ちなみにMHVが付くと21.1km/lと驚異の低燃費だが、MHVなしでも19.8km/l(FF)と十分以上。「XD」には、MHVまたはPHEVという電動パワートレーンとプレミアムな内装仕立は付かない。こちらを選ぶと価格は505〜626万円とグンとアップするから、予算に余裕があって、マツダ初の本格的なプレミアム路線をじっくり味わってみたいというユーザーには、そうした選択肢も残されている。
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