第二百臨時国会は九日、閉会した。安倍晋三首相は官邸で記者会見し、自身が主催した「桜を見る会」について、招待者名簿の復元を指示する考えがあるかどうかを問われ「内閣府が定められた手続きにのっとって適正に廃棄している」と応じない考えを明らかにした。データ復元も「不可能との報告を受けた」と述べた。名簿が復元できなければ、首相の地元支持者が多数招かれたほか、反社会的勢力も出席していた問題は解明できない。首相自ら問題の幕引きを急ぐ姿勢を示した。 (中根政人)
首相は、マルチ商法を展開した「ジャパンライフ」の元会長が二〇一五年に招待されたことを巡っては「個人的な関係は一切ない。多人数の会合で同席した可能性までは否定しないが、一対一の形で会ったことはない」と強調した。
桜を見る会の運営の在り方については「招待者の基準があいまいで、結果として招待者数が膨れ上がってしまった」と説明。「国民からさまざまな批判があることは承知している。運用を大いに反省する」と語った。予算や招待人数の見直しは「私自身の責任において行う」と述べた。
これに関連し、菅義偉官房長官は記者会見で、見直し策を来年夏までに取りまとめる考えを示した。
首相は改憲に関し「決してたやすい道ではないが、必ずや私自身の手で成し遂げていきたい」と二一年九月までの自民党総裁任期中の実現に意欲を示した。来年の通常国会では「憲法審査会で与野党の枠を超えた活発な議論を通じ、令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定を加速させたい」と語った。
衆院解散・総選挙に関しては「国民の信を問うべき時が来たと考えれば、断行することに躊躇(ちゅうちょ)はない」と述べた。「国民生活に直結する政策は信を問うべきだ」とも語った。
◆「逃げ」際立つ長期政権
<解説> 長期政権の秘訣(ひけつ)は逃げ足の速さにあるのかと言いたくなる。臨時国会では、通算在職日数で憲政史上最長を更新した安倍晋三首相率いる政権のひずみやおごりが一気に表面化した。その度に首相は反省や陳謝を口にしながら、国民の疑問には十分に答えないままだった。
首相は九日の記者会見冒頭、桜を見る会に関し自ら釈明せず、都合の悪いことは語りたがらない姿勢を鮮明にした。日米貿易協定承認を成果として誇る一方、日本製自動車の関税撤廃を米国が現時点で認めていないことには触れなかった。
桜を見る会を巡る問題は政権の体質を象徴する。地元支持者を多数招待したことは「身びいき」との批判を免れない。首相夫妻の「お友達」を優遇して行政がゆがめられた疑念が晴れない森友、加計学園問題と同じ構図だ。公文書が残っていないとして幕引きを図る手法も共通する。
逃げの姿勢は、公選法違反疑惑を指摘された菅原一秀前経済産業相、河井克行前法相の相次ぐ辞任を巡っても際立った。首相は閣僚の順法精神が問われる異常事態に「任命責任は私にある」と頭を下げたが、その後、二人に説明責任を果たすよう促した形跡はない。
都合のいいことだけを語る姿勢に大宰相の威厳は感じられない。記者会見では在任中の衆院解散・総選挙の可能性に言及した。堂々と疑問に答えられない首相がさらに在任を続ける先にどんな政治があるのか。首相官邸を取材するチームのキャップとして、権力監視の責務を改めて確認した。 (後藤孝好)
(東京新聞)
2019-12-09 21:34:00Z
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