◎坂巻構成員「薬価差の共通認識を持つ」とは?
坂巻構成員:私は1990年代から薬価について勉強してきたが、その頃から「薬価差」についての議論があったと認識している。その後、今世紀に入ってからは、あまり薬価差について議論されない環境になってきたのかなという印象を持っている。今回、改めて薬価に着目し、なぜ薬価差が生まれるのかということについて(製薬業界から)問題提起していただいたことについて、重要なご指摘を頂いたと思っている。
日薬連のプレゼンに、「薬価差の共通認識を持つことが重要」という話があった。もちろんその点は重要だが、具体的に共通認識とはどのようなことを考えているのか? 共通認識の持ち方として薬価差を許容するのかしないのか? というところから共通認識の議論が始まると思う。そういうことを含めて、薬価差の共通認識というのは、どのような議論をすることが必要なのかお話しいただきたい。
◎眞鍋日薬連会長 薬価差を「是とするか非とするか」 経営原資をどう見るかなどで共通認識を
眞鍋日薬連会長:ご指摘のように、薬価差が現実問題としてあるわけだが、是とするか非とするか、というのがまずひとつあると思う。実際に薬価差がどういう形でどこに使われているかというのも重要だと思う。医療機関や薬局の利益部分は診療報酬や技術料で賄われるべきだと思っているが、それが不足しているということで経営資源として使われているのが現実だと思う。それは共通認識でよろしいかどうか。薬価差は色々な形で広がったり縮小したりすることも、同じような認識をしていただかないと、新しい制度についての議論ができないと思っている。それが私の認識だ。
坂巻構成員:具体的に言えば、薬価差を是とする立場であっても、なぜ薬価差が生まれるのか、薬価差の幅やバラツキがどれくらい許容されるのか、幅に関しても医療機関において根拠となるものは何かについての議論が必要だと思う。
◎成川構成員 2018年度の薬価制度抜本改革以前から未承認薬が増えている。どう解釈すべきか?
成川構成員:薬価制度というものが患者の医薬品のアクセスに多大な貢献をしていると言うのは疑いのないところだ。一方で、岡田製薬協会長の8枚目のスライドとPhRMAの発表にもあったが、未承認薬が増えているということは、国民にとって不利益になるし、研究者としても残念に思っているところだ。
歴史を振り返ると、2010年に新薬創出等加算という制度が試行的に導入され、私自身もこの制度が良いか悪いかというのは色々な考えがあった。企業の方々と話をすると、例外なく評価をする声が多かった。新薬創出に一定の役割を果たしてきたという理解を今ではしている。
一方で、医薬品開発の出口である薬事承認というものを見ると、薬価制度による市場影響をみるには、5~6年かかるのではないか。経時的に見ると、2016年度に未承認薬が底を打ったとして、17年度には未承認薬が増えてきている。
企業の方から見ると、評判の良くない薬価制度抜本改革は2018年度だ。抜本改革より前にすでに未承認薬が増えてきていることをどう解釈したらいいのか? 言い換えれば、薬価制度なり市場の魅力なりだけを議論しておけばいいのか? この検討会から外れるかもしれないが、僕らが見落としている点があるか教えて欲しい。製薬業界の皆様方どのような分析をされていて、どのようにお考えなのか聞かせて欲しい。
遠藤座長:これは大事なご指摘だ。薬事承認を含めたトラック・ラグの問題をどのように考えているかということですね。
◎岡田製薬協会長 未承認薬の増加 薬事関係と薬価制度の両方に問題がある
岡田製薬協会長:まず、2018年度の薬価制度抜本改革が非常に大きな影響与えたのは間違いない。もう一つは2016年度にイノベーションに切り込む部分改定がなされ、それが完全に大きく2018年度に固定されたということで、2010年に新薬創出加算制度が導入され、その見直しが正確には2016年度にイノベーションに大きく切り込まれたことが大きな原因になっている。
薬価制度がグローバルな仕組みから逸脱しているということが大きな問題であることは確かだが、今日も触れたが、日本の薬事制度、臨床研究の機能面に起因した問題というものがやはりあるという風に思っている。大きくは、薬事関係の問題と薬価制度の問題の両方であると思っている。
◎赤名日薬連薬価研委員長 ドラッグ・ラグ 薬価制度とは別に薬事、臨床研究の環境改善にも原因がある
赤名日薬連薬価研委員長: 複合的なことがドラック・ラグにつながっている。薬価制度の方は説明したが、これとは別に薬事、臨床研究の環境の改善についてもいくつかの原因があるのではないか。我々もいま製薬協内で分析を始めている状況だ。
例えば、薬事に関しては申請資料が日本語であることが問題ではないか。日本人データをかなり強く要求されることもある。治験環境についていえば施設の集約化が欧米とは違っているので、コスト・スピード面で海外より劣っているのではないか。こういうことも含めて製薬協内で調査をしている。
◎遠藤座長 「まさに薬事との絡みでドラック・ラグの問題が起きている」
遠藤座長:まさに薬事との絡みでドラック・ラグの問題が起きている。そこのところはできるだけはっきりできればありがたいと思っている。
◎坂巻構成員 日本でのバイオ医薬品開発の遅れ「結果的にドラッグ・ラグにつながるのでは」
坂巻構成員:PhRMAのデータはバイオ医薬品に特化したお話だった。日本の企業はバイオ医薬品について、あまり開発できていないという印象を持っている。日本においてバイオ医薬品の開発が遅れていることが全体的に見ると、日本でのドラッグ・ラグにつながっている部分がないのかどうか。逆に言うと、比較的高額なバイオ薬品が日本で上市されていないから、薬剤費がそれほど伸びていないという可能性はないのかどうかを確認したい。
◎遠藤座長「市場の魅力度と言うこともあるが、バイオ競争力の問題を反映しているのでは」
遠藤座長:自国のバイオの競争力がないがゆえに日本国内での上市が遅れているというのは、母国では一番最初に上市する場合が多いだろうから、母国にバイオに関して競争力のない企業が少ないということが結果的にこうなっている。市場の魅力度と言うこともあるが、バイオ競争力の問題を反映しているのではないかということですね。
坂巻構成員:端的に言えば、技術力の差ではないかということだ。
◎岡田製薬協会長 もちろん全くゼロとは申し上げない 新規モダリティで世界に遅れ
岡田製薬協会長:日本市場が成長しないというところが日本の製薬企業の技術力に起因するところがあるのではないかというご指摘だが、もちろん全くそれはゼロとは申し上げないが、日本の医薬品市場の品目構成を見ると、明らかに上位品目はバイオになってきている。それはグローバルでも上市されている品目が日本でも多くの品目はバイオ製品だと言う実態だと思う。逆に、日本企業がバイオをはじめとする新規モダリティで世界に遅れをとっているというのも事実であるというふうに思う。日本市場だけではなく、世界を含めた市場で我々の成果物がまだ顕在化できていない。日本だけで特異的に何か、内資系企業の研究開発の技術力に関して、日本だけでマイナスが起きているとは認識はしていないところだ。
◎眞鍋日薬連会長 日本で採算性が取れないとローンチを遅らせたりすることも起こる
眞鍋日薬連会長:個社の話だが、弊社もバイオの製品を最初にローンチしたのは米国だ。私たち日本発で、日本の会社だと思うが、現在の状況が続いて日本でなかなか採算性が取れないとなると、日本でのローンチを遅らせたり、将来的には日本で見送るということが起こるかもしれないと言う状況だ。特に日本の企業でそういうことが起こっているからということはないと私は思っている。
◎芦田構成員 ドラッグ・ラグ「大きく言えば開発環境というところが要因だろう」
芦田構成員:非常に網羅的かつ整理されていて大変勉強になった。ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスについてだが、基本的には欧米の企業が欧米で開発したものがなかなか日本に入ってこないと言うことだと思うが、私が主に見ている日本のベンチャー企業、創薬ベンチャーにおいても、本来であれば、マザーカントリーである自分のフィールドで、日本のシーズを開発していくということがまず行われてきたし、それがいいと思う。しかし、昨今では力のあるベンチャー、資金力のあるベンチャーでは、海外でまず、開発しようということで、米国だったり、その他の国で開発を始めるというところが始まっていると思っている。様々な要因がある。薬価の議論だけではなく、治験の環境や薬事の環境、治験に入る前のバイオ医薬品の場合は製造をどうするかというところが非常に大きな課題だ。大きく言えば開発の環境というところが要因だろうと思っている。
一方で、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスについて、EFPIAのプレゼンで会員企業の4割(10社中4社)が上市を中止したという話もあった。そういう意味では、衝撃を受けたところではある。というのは、よく言われているのが特にアメリカにおいては、バイオテック企業が以前であれば開発の途中でメガファーマにライセンスを譲ってきたが、最後まで自分たちでやりきってしまう。そうすると、米国を中心とした国だけで開発し、販売をするので、それゆえに日本に入ってこないという話がよく言われていると思う。必ずしもそうではないということをきょうお話いただいたので、認識を新たにした。根が深いのかなと感じた。
政策研のレポートを見ると国際共同治験に日本が入っていないということで、韓国や台湾よりも劣後しているというようなことが書かれている。そう考えると必ずしも市場規模やそういったことだけではなく、様々な要因があるのではないかと思っている。
質問が2つある。ひとつは、薬価を含めた制度についてだ。目が米国や欧州に行きがちだが、アジアの他の国と比べても、開発の魅力度が下がっているというところをどのように受け止めていいのか。もう一つは、米国のバイオテック企業が米国内で開発し、FDAの承認を受ける、そういう医薬品がなかなか日本に入ってこないということではあるが、日本の製薬企業がなぜ日本の市場に投入して開発しようとしないのか。その理由はどこにあるのか。薬価のような制度のものなのか、それ以外の理由があるのか。
こういう言い方をすると誤解を生むかもしれないが、日本の製薬企業の皆様が、自社の開発を積極的にされているが、それと並行して導入活動を盛んに行っている。いくつかの医薬品は日本に導入されて開発が進んでいるが、もっとそれが進んでも良いのではないか。進まない理由、障害があるのであればそれは何なのか。
遠藤:アジアの市場の魅力度と、我が国の比較のようなものについて何か検討されているか、考えがあるか。
◎岩屋EFPIA会長「市場規模、成長率で中国優先という議論あってもおかしくない」
岩屋EFPIA会長:上市を中止したとか延期・遅延を判断した点について、コメントをいただいた。私どもがお伝えしたかったのはその点にある。中止や延期の内容は個別の会社で、我々も詳細に把握はしてないが、例えば薬価だけの問題ではないという可能性も十分にあるが、向かっている方向性としてはこういったケースは今後も増えるだろう。
我々は日本法人の代表なので、日本に持ってこられるように最大の努力を続けるが、そういう議論が社内で起きていることは偽らざる事実だということをまずお伝えする。他の国、アジアとの比較では、個社によって、パイプラインによって、どういう戦略であるかによってだいぶ違いはあると思う。全体的に申し上げれば、例えば中国が市場として非常に大きな成長をしている。中国においては我々が主力にしている特許品についてはまだまだの状況で、一般的な医薬品の市場のニーズが大きい状況ではある。ただ、急速に特許品にも市場が大きくなっているという状況で、中国と日本とどちらを最初にするかという選択が起きたときに、市場の規模、成長率を考えたときに中国を優先すべきと言う議論があってもおかしくないと思っている。
薬価については、中国は今のところまだ数は多くはないと思うが、日本の薬価をそのまま参照する国のひとつになので、日本の薬価が中国の薬価に対して悪影響を及ぼす可能性があるということであれば、そこでの競争はさらに過酷なものになるかなと思う。
東南アジアと他のマーケットもあるが私が自分の知っている限りについて申し上げると、1番の大きな競争相手は、いまは中国なのかなと思う。
遠藤座長:日本企業の海外製品の導入についてのスタンスについて。個別企業ごとには違うと思うが。
◎眞鍋日薬連会長「日本は薬価が低く利益が上がらないのであれば、向こうも出したくない」
眞鍋日薬連会長:例えば未承認の薬というのがあって、それを日本に導入したいという時に、未承認の理由がそこにあるわけで、海外の企業もそれなりの理由があって日本では上市したくないと思っているわけで、その障害部分は日本の企業であっても変わらないことだ。ライセンスインに際し、ロイヤリティーをいくら払うという時に、日本はもともと薬価が低くて利益が上がらない国であれば、向こうも出したくないし、日本企業に任せても結局同じだろうと言うこともあるのかもしれない。我々も導入したいが、臨床試験が初期段階だとか、フェーズ2だとか最後に行っているとか、色々あって、分析がなかなか難しいので、いま我々が言っている理由だけではなく「お見合い」がどう成立するかということもあるので、かなり多くの理由があると思っている。
◎芦田構成員 日本より韓国、台湾など市場規模の小さい国で国際共同治験に組み入れの理由は?
芦田構成員:EFPIAの回答についてだが、中国と比較すれば中国の方が日本よりも医薬品の市場も大きいし、今後の市場の成長もあると思うが、私が指摘したのは、政策研のレポートを拝見してのことだが、国際共同治験において、韓国や台湾、シンガポールよりも日本の方が、組み入れ数が少ないというデータがあった。人口規模や市場規模を見ても、日本よりも小さい国の方が優先されているように見える。そこがなぜなのか? というのが1つ私の疑問だ。ここはできれば政策研の方で、継続して研究していただければありがたい。
もう1点は、眞鍋日薬連会長からの回答だが、基本的には個社の例だと思うので、やはり導出する側と導入する側との「お見合い」、経済条件等のことであろうとは思うが、おそらく最終的なピボタル試験、国際共同試験に入る段階で導入する、もしくはその後に導入するとなれば、非常に経済条件として導出側に有利、導入側に不利になるだろうと思う。日本でもやはり必要な医薬品であれば、日本で、かつ相手側の会社がアメリカに拠点を持ついわゆるバイオテック企業、日本で言うベンチャー企業であれば、日本の製薬企業の方々に、早い段階から目利きを生かして、積極的に日本の市場に導入していただきたいと思っての質問だ。
◎三村構成員 安定供給「情報の一元化についての提案」は賛成
三村構成員:もう一つの問題である安定供給について質問する。本日、日薬連の方から情報の一元化についての提案があったが、私はこれに賛成しており、これはぜひ具体化する方向性があればと思っている。もう一つだが、日薬連とEFPIAから同じ指摘をいただいた。薬価差をどう考えるかという以上に、乖離率の話ではないかと思う。
日薬連のレポートによると、薬価差が生じ、乖離率がばらつく、1つの問題があって、状況によって違うのではないか、きちんと分析整理すべきだと言う提案があった。それからおそらくもう一つ重要だと思うが、現在のところ全部総括して平均乖離率として乖離率を出している。品目カテゴリーという形で、基礎的医薬品、特許品、長期収載品、後発品というカテゴリー分類を基にして対応されている。もう少し深いお考えがあるか。アイデアとしてお出しになっているのかどうか。EFPIAも流通販路やカテゴリーごとに、ときには公定マージン的なものもあっても良いのではないか、償還、購入価償還の意味ではないかというようなご提案があるが、日本の場合どのような形が、有効性があるのかということについて、何かアイデアがあれば教えていただければと思う。
もう一つ、ジェネリック医薬品の説明をいただいた。大変苦しいと言うことはよくわかった。医薬品供給不安への対応と言うことで苦労されている話がある。限定出荷を行わざるを得ない状況であるという言い方で止めているが、具体的に企業として、業界として、国として、これだけは必要だということや、それについてのお考えはあるかどうか。
◎土屋日薬連安定確保委員会委員長「一元化できれば供給不安は少しでも解消できる」
土屋日薬連安定確保委員会委員長:私どもとしても、供給不安が発生したときにどうしても、状況が見えていない。ある製品が供給不安に陥ると、同一成分がリカバーしようと思っていてもどのような状況になっているかということで、他社が色々対応するにしても見えていないために、自社にもしかしたら注文が集中するのではないかと不安になって、限定出荷を取らざるを得ない。
ある意味、国の中で情報をしっかりと一元化して公開して見える化していただければ、私どもメーカー側としても迅速に対応できるのではないかと考えているし、またそれを見ていただく購入者側の医療機関等についても他の同一成分のなかで他の品目が出荷状況が足りている、需給状況が見えているのであれば、そちらのほうに少し切り替えるということもできるのではないか。いまなかなか難しい状況だが、一元化してタイムリーに情報提供ができれば、いまの供給不安は少しでも解消できるような形になるのではないかと思う。引き続きご支援いただければと思っている。
GE薬協・國廣氏:供給問題をご指摘いただいた。21ページをご確認いただいたと思うが、まずジェネリック医薬品の製造の特性がある。工場の生産ラインに、需要に基づいて綿密な計画を立てて、複数の品目を順番に製造するやり方を取って何百品目も製造している。計画の中で、例えばA製品をきょう、明日で製造すると、次に数か月後、また製造する順番がラインに回ってくる。一定の在庫を保ちながら、順々に作っているという状況になっている。これがジェネリック医薬品の製造の特性だ。
一度に多品目ということになるので、こちらに示したように企業によって5か月、6か月と違うのだが、在庫を放出する。一定まで来ると、5か月先、6か月先まで作れないということになる。それがすべて在庫から抜けてしまうと、全くもって市場の中に行き渡らないという状況になってくる。出荷調整をかけざるを得ないと言うことで、また製造してリカバリーをするので、多品目が残念ながら順々に企業で起こっているので、市場の方も少しずつお求めになる量が需要よりも多くなってくるので、そういったなかで一定の期間が必要なときにある一定のものを吐き出してしまうと、もっと被害が大きくなるということで、在庫を一定量保って放出させていただきながら、対応させていただいている。大変ないま、そのような状況が続いていると言うことだ。
岩屋EFPIA会長:私どもが申し上げたことは、もちろんこれから色々な形で議論いただく際に、考え方として、色々なやり方があると思うし、その議論に際しては、我々に協力できることがあれば、協力して参りたいという趣旨で申し上げている。こういう案で、これでお願いします、というところまで全く至っているものではない。
一方で問題意識としては、非常に雑駁な話をさせていただきますと、基本的にいまの薬価制度は、上市後は市場で取引をされている価格に基づいて次の薬価が決まる。取引されている価格は非常に自由競争で、自由に当事者間で価格を交渉して決まるという前提で制度が成り立っている。現実的にそういう形で、価格が形成されているのかという点については、必ずしもそうなのかどうなのかということに疑問があると言うのは実状だ。一方でメーカーとしては、一度流通に委ねた価格について我々がどうこう言うものではない。薬価の議論をするときに、「最終的には値引きをしている方が悪いでしょ」と言われることもあるが、一方で現場での価格形成のプロセスが本当に一対一の自由な関係での取引になっているのかどうかもあるし、では我々が価格を維持しようという取り組みをすることが安定供給や流通に対する我々の関与という点で果たして健全なのかということも、色々問題意識や悩みがあるということについては一言申し上げたい。
◎赤名薬価研委員長「薬価改定の姿、薬価差が何かということで共通認識を持つことが大事」
赤名日薬連薬価研委員長:乖離率、また品目ごとにどうなのかということだが、日薬連の真鍋会長から説明したが、15ページに書いてあるが、価格乖離というのはいくつか要因がある。品目カテゴリーで言えば1番上に書いてある医薬品の特性による要因、これは競争が激しいものは薬価差が広がるし、競争が少ないオーファンや基礎的医薬品については薬価差が縮まる。これは医薬品の特性だ。その他にも要因があって、地域別の要因ということで、都市部では広がったり、競争が激しいところで広がったり、取引別でバイイングパワーが強いところでは広がっていくとか、そういった要因別にあるにもかかわらず、ざっくりと平均何%とかいう話になっている。そういったことを分析し、皆さんで共通認識を持って、どういう薬価改定の姿、薬価差が何かということで共通認識を持つことが大事だと言うことで我々も説明させていただいた。
◎関口PhRMA在日執行委員会委員「10年前と今では実勢価改定の影響度合いが変わっている」
関口PhRMA在日執行委員会委員:乖離率についての問題だが、現場をよく分析した方が良いかというのはその通りだと思っている。冒頭、坂巻先生からも過大な乖離率が2桁以上あったような時代に、薬価差を問題視していたのはわかるが、最近は業界を問題視しているのは意外だったというようなご趣旨のコメントがあった。私どもとしても、薬価改定が2年に1回であった当時、2010年に新薬創出等加算が試行的に導入されたこと、これにより実勢価改定の影響はかなり縮小されていた。業績に大きな問題が生じるということにはなっていなかったと思う。状況を大きく変えたのは、新薬創出等加算の対象範囲の見直しで、特許期間中の新薬の多くも、乖離率があるということで薬価改定を受ける。なおかつ、中間年で薬価改定を実施することになるということで、おそらく10年前といまでは乖離率があることによって、実勢価改定をやることの影響度合いが大きく変わってきたことが背景にあるというのを一言だけコメントとして追加する。
◎高田GE薬協会長「不採算のものが増えている」安定供給を考えるとそのままにはできない
高田GE薬協会長:日薬連資料の15ページにあったように、薬価差が大きい代表例として後発医薬品が上がっている。ご指摘のように、後発品は競争が非常に激しいということで、品目が多くなっている。そこで問題点として2つあげると、競争が激しいなかで価格をすべての会社が低価格で販売しているわけではなくて、仕切価を維持しているものもある。そのなかで、総価取引だったり、価格帯まとめという問題が現場として起きている。もう一点は現場、かなり薬価が低下してきて不採算のものが増えてきている。そのなかで我々は仕切価以降は関与できない状況で、そのなかでも下がっていくというのが現状安定供給を考えたうえではそのままにできない状況になっているということを申し添えたい。
◎GE薬協・國廣氏「自由取引で市場メカニズムが働き、乖離が生じてしまう。苦しいところだ」
GE薬協・國廣氏:最低薬価である10円10銭の例でも示したが、赤字になっているもので我々も望んでいないのだが、市場の自由取引の中で市場メカニズムがやっぱり働いていて、乖離が生じてしまうというところが、なかなか苦しいところだ。そこを実態としてどう考えるかということではないかと思う。
◎小黒構成員 10年スパンでいまの制度を続けて「本当に持続可能と思われるか」
小黒構成員:先ほどからお話をうかがっていますと、バイイングパワー含めて、中間年改定など、色々な要因があるなかで、市場実勢価格がどんどん下がっていく動きがある。他方で、日薬連やGE薬協の資料のなかで原価は上がっているということは、大変厳しい状況だと思う。各団体の方々にうかがいたいのは、10年、20年続けたときに色々な微修正で何かをつけたとしても、維持できるものなのかどうかということについて、コメントいただきたい。1 、2年の話ではなくて、10年スパンでいまの制度を続けていった場合に、本当に持続可能と思われているのか。
◎眞鍋日薬連会長「診療報酬含めてデジタルで効率化を議論すべき。薬価だけではない」
眞鍋日薬連会長:現行の薬価制度でこのまま続くと、我々は破綻するという指摘をさせていただいている。もう一点、デジタルトランスフォーメーションが色々なところで進んでおり、医療が5年後10年後かなり変わってくるということをきょう私も、ご説明した。医療費全体を抑制するためにどのようにデジタルを使っていくか、我々製薬企業も使命として考える。他の医療関係者の皆さんも揃って、どのようにすれば診療報酬含めて全てが、デジタルで効率化できるかという議論しておくことが必要だ。薬価だけではないと私は思っている。
◎岡田製薬協会長 現行制度を続けると「ある意味破綻ということになる」
岡田:破綻というのは何をメルクマールとするかという論点があると思うが、現行制度を続けていく先にはきょうお話したような課題がより鮮明に出てきて、ある意味破綻と言うことになるかと思う。医療という非常に情報の非対称性が強い消費材について、政府の介入はもちろん必要だと思うが、いわゆる国民皆保険の維持の問題、給付と負担の問題、あるいは自助、控除、共助という所で、何をどこまでいまの医療システムのなかでカバーしていくのかということについて議論がなされない限り、薬価の所だけで、話が解決するかと言うとなかなか難しい。現行制度の延長というその先に、大きく背景にある日本の社会保障制度の持つ課題解決という所にはつながらないという風に思っているところだ。
◎高田GE薬協会長「安定供給の設備投資、人材育成、品質確保などで投資が継続できない」
高田GE薬協会長:ジェネリック医薬品、低薬価医薬品については、先ほど説明した通り、5年連続の薬価改定で、赤字品目が倍増している。これは各社同様で、正確な各社の情報を用いているわけではないが、1/3から半数近くが不採算の製品を各社が抱えていると認識している。そのなかで、現状の改定のたびに薬価が引き下がるような制度の下では、今後安定供給のための設備投資、人材育成、品質確保のための様々な投資が継続できないという風には認識している。また、それではすべての製品かと言うと、それはまた別の議論だと思っている。
◎関口PhRMA在日執行委員会委員「今後10年、非常に大きな悪影響が出る」
関口PhRMA在日執行委員会委員:新薬メーカーの立場では、新薬の薬価が今後10年間で毎年下がると言う市場になってしまったとなると、非常に大きな影響が出てくると思う。ひとつは、そもそも日本でかかる開発コストを回収することができるのかどうか、収益性の問題から日本での事業が開発をそのまま進めて良いのかと言う議論になる可能性もあるし、日本の新薬の価格の水準がかなり他国に比べて低い状態になれば、先ほどEFPIAからのプレゼンテーションもあったが、他の国に価格が波及することを懸念して日本で上市を見送らざるを得ないというようなことにもなりかねないと思う。なので、新薬の迅速な日本への導入という意味では、非常に大きな悪影響が出ると言うことが予測される。
◎岩屋EFPIA会長「10年このままの制度であるとは思っていない」
岩屋EFPIA会長:私見だが、10年このままの制度であるとは思っていないことをまず最初に申し上げたい。そうではなくて、きょう申し上げた問題点を皆さんに認識していただき、より良い制度になるのではないかと期待している。仮にこのまま同じようなことが10年間続くと言うことになると、成川先生が先ほどご指摘されたように、実際は、2016年にせよ18年にせよ、改革の結果が本当に企業構造に反映されるには時間差がある。その時点で着手したものについては急にブレーキをかけるわけではないので、少し時間差の中で、日本に対して投資をしている、新製品を導入しているという部分も10年もたたないうちにそれは終わると思う。したがって本当にそういう形での制度が続くのであれば、本当の意味で日本の患者のアクセスに障害が出ると考えている。
小黒:現行制度の微修正ではなかなか難しそうだということもよく理解できた。
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