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茨城・那珂川氾濫で田園水没 「どこから手つければ」 - 日本経済新聞

茨城・那珂川氾濫で田園水没 「どこから手つければ」 - 日本経済新聞

台風19号による記録的な大雨を受け、茨城県を流れる那珂川は広範囲で氾濫、浸水した。国道123号線の一部や常磐自動車道・水戸北スマートインターチェンジ付近は田園だった一帯が水没し、まるで湖のようになった風景が被害の大きさを物語っていた。

道路が水没し、寸断された道(14日、水戸市)

道路が水没し、寸断された道(14日、水戸市)

被災した家は泥に埋もれていた(14日、水戸市)

被災した家は泥に埋もれていた(14日、水戸市)

14日、浸水した水戸市の岩根町地区や飯富町地区、藤井町地区では田畑が泥で埋まり、ブロック塀は倒壊したまま。同日午後から雨が本降りとなり、雨具を着て作業を続ける姿もあった。

「まるでゴミ屋敷のようだ」。藤井町地区の舘野みどりさん(56)は14日午前、自宅から泥だらけの家具などを運び出す作業に追われていた。自宅は1階天井付近まで浸水した跡が残っており、家電や書類などは泥まみれに。

過去2度、浸水の被害にあったが「ここまでひどい浸水は初めて。できれば水害のない地区に住みたいが、先祖代々住んできた家を捨てるわけにはいかない」と肩を落とす。

異変に気づいたのは台風が上陸した翌日の13日早朝。防災無線で「那珂川が氾濫した」とアナウンスがあった直後、ものすごい勢いで水が押し寄せ、「あっという間に腰くらいまでの高さになった」と振り返る。引き戸をなんとか開け、駆けつけてくれた弟に助けられてなんとか脱出した。「浸水した時点で早く逃げていればよかった。とにかく早く家を原状に戻したい」と話した。

「家も車も何もかもだめになった。どこから手をつければ」。岩根町地区に住む会社員の男性(62)は茶色い濁流が流れる川を見つめて立ち尽くしていた。

男性は家族とともに12日午前、近くの中学校に避難。14日早朝に帰宅すると一帯が膝の高さまで漬かっていた。家族4人で玄関や自宅前の泥やゴミを洗い流す作業に取りかかったが、家の中も泥だらけ。「家が片付いても国道が寸断されているからどこにも行けない。精神的に先のことを考える余裕はない」

浸水した一帯は那珂川と支流の藤井川や西田川に囲まれた低地で、これまでも度々水害に見舞われてきた。ハザードマップで想定浸水範囲は示していたが、「今回は那珂川の水位が10メートルを少し越えたとみられ、洪水も想定を上回った可能性がある」(市担当者)。

市は12日午後4時、那珂川の水位が規定を超えたため市内の約1万2400世帯に避難勧告、13日午前0時に避難指示を出した。このころから堤防の越水がはじまったとみられる。堤防が決壊したかどうかは確認できていないという。

避難勧告は13日午後には解除されたが、いまも水に漬かる地域は避難指示が出ている。市担当者は「川の水位をもとに早めのタイミングで避難を促した。越水の想定は難しかったが、死者などの人的被害も出ず、適切に避難は完了できた」と受け止める。

今後はポンプによる排水を急ぎ、堤防の被害状況などの解明を進める。

(石原潤、金子冴月)



2019-10-14 06:00:00Z
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50966220U9A011C1CE0000/

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