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冗長構成はハードだけで十分か?SI企業が探すべき次の構造改革 - ITpro

誰も指摘しなかったSI企業の課題『SI企業の進む道』[6]

全2981文字

 SI企業の強み・弱みを分析し、SIビジネスの先行きについてまとめた書籍『SI企業の進む道 業界歴40年のSEが現役世代に託すバトン』。同書から抜粋し、「誰も指摘しなかったSI企業の課題」を連載で指摘する。今回は、冗長構成によるシステム障害対策について独自の考えを示す。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

 ITシステムに求められる信頼性は、DX(デジタルトランスフォーメーション)になるとさらに高いレベルが求められる。だが、様々な方法を駆使しても、現状ではプログラムのバグをすべて取り除くことは困難である(もちろん、それでいいと思っているわけではない)。

 ITプロジェクトマネジャーとしては、フェータルなバグを最小限に抑え込み、リリース時に対応が可能な範囲に品質を高めていくかしか方法は無い。そのために、様々な方法・手段をプロジェクト当初から駆使してマネジメントするのである。だからこそ、ITプロジェクトは規模が大きくなればなるほど、プロジェクトマネジメントが難しいのである。

 ソフトウエアにバグがあってトラブルが起きても、影響範囲を最小限に抑える方法は、できるだけ小さな機能単位で、分散して接続する方式である。

 例えば、東京証券取引所と各証券会社は、データのやりとりを集中し、それを大きな回線で結んでいる。すべての上場銘柄の注文データは、1つの回線でやりとりされている。そうした状況で何らかの銘柄の注文データ処理にトラブルが発生すると、すべての注文処理に影響を与えることになってしまう。

 そこで、例えば銘柄単位にサービスを分割し、銘柄単位に独立した処理形態に分けたITシステム構成に変えたらどうなるであろうか。この構成なら特定の銘柄の注文処理は、ソフトウエアが正しく修正されないと正常化しないが、その他の銘柄の注文処理は、正常に処理されることになり、極めて限定的なトラブルとして対処できる。さらに、トラブル範囲も限定的なので、トラブル時の対応方法も事前に作成できる。

 そのため、原因追及などにIT技術者は集中し対応することが可能となる。また、独立性が高い構成なので、修正後、そのサービスだけを再稼働すれば簡単に全面復旧することが可能になる。

マイクロサービス化が重要

 このようなアプリケーション・アーキテクチャーの代表が、マイクロサービスである。マイクロサービス化することで、サービスを分離独立することが可能となるのである。いわば、太くて丈夫な一本の金属棒で橋をつるよりは、一本は細いがたくさんの金属棒を束ねることで強度を上げている方式と同じなのである。

 機能分散を徹底し、トラブル発生時の影響範囲を最小化する。最終的には、ソフトウエアも含めた冗長構成を目指すことが重要になる。

 信頼性を高めるには、ITシステムの完全なる冗長構成が必要になる。一般的には、重要なITシステムは冗長構成をとっている。例えばサーバー機が故障した場合、バックアップとして用意されているサーバー機に自動的に数分で切り替わる。ネットワークも同様に自動的にバックアップのネットワークに切り替わる。なぜこうしているかというと、ハードウエアは必ず故障を起こすため、冗長化構成をとる必要があるからである。

 しかし、ソフトウエアのトラブルに対して、現状は冗長構成をとっていない。そういう発想でシステムを構築していない。なのでソフトウエアにトラブルが発生すると、正しく修正しない限り、正しく稼働する状況にならない。現状は冗長構成をとらず、バグの発生確率をできるだけ下げる努力を続けているが、システムによっては、ハードウエアと同じように、ソフトウエアも冗長構成をとるべきではないだろうか。

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