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"森村泰昌の大規模個展の会場を構成していた川島織物セルコン製遮光カーテンを(できるだけ安く)譲渡します" by ほぼ日:展覧会の「アート・シマツ」プロジェクト |COMPETITION & EVENT|TECTURE MAG(テクチャーマガジン) - TECTURE MAG

京都市内で今春開催されていた展覧会「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」の会場にて使用された膨大な量のカーテンの生地を、廉価で譲渡するプロジェクト「アート・シマツ」が開始された(主催:ほぼ日)。展覧会の「後始末」を試みるサステナブルな試みで、有効活用を前提としており、新たな使い道のアイデアなどを特設サイトで募集している。

森村泰昌×ほぼ日「アート・シマツ」プロジェクト

「アート・シマツ」プロジェクト

糸井重里氏が率いる「ほぼ日」が、10月6日に新たなプロジェクト「アート・シマツ」を発表しました(ほぼ日 2022年10月6日プレスリリース)。
今年3月から6月にかけて、京都市京セラ美術館で開催された、美術家の森村泰昌氏の大規模個展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」の展示会場を構成していた、ユーズドの遮光カーテン(遮光2級)を廉価で譲るというもの。

「京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」 展示風景

「京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」 展示風景(撮影:三吉史高)

同展は、新館「東山キューブ」で開催され、西澤徹夫建築事務所が会場構成を担当しました。面積約1,000m²、天井高5mのホワイトキューブの空間を、幾重にも弧を描くようにして仕切り、本展のタイトルでもある”迷宮”のような空間を創出していたカーテンです。
空間を仕切るだけでなく、遮光の性能を生かして、暗室が必要となる展示空間を、カーテンの裏側や、カーテンに挟まれた回廊の奥に配置するなど、本展には欠かせないものでした。

「京都市京セラ美術館開館1周年記念展 森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」 展示風景

森村泰昌《衣装の隠れ家》2022年 © Yasumasa Morimura(撮影:三吉史高)

製造は、京都の川島織物セルコンが担当。幅1.5m×長さ5mの生地を縫い合わせ、展覧会用の巨大カーテンに仕立てたものです。
素材はポリエステル、生地の厚みは約0.53mm。高品質で、ブルーグレーの色は本展のための特注です。新たな活用先を求めているカーテンの総量は、面積換算で約2500m²(平方メートル)。プロジェクトを主催するほぼ日では、販売価格の目安を「経費を賄える価格+α(アルファ)」としています。

開設されたプロジェクトの特設サイトでは、「何に使おうと思っているか」「どれくらい必要か」の2点を確認するアンケートを実施中です。アンケートの回答結果から、譲渡するものと、製品としてアップサイクルして仕立て直すもの、それぞれの量と販売価格などを算出する目安とする意向です。

森村泰昌さんの本プロジェクトへの思い

美術館での展覧会をぶじに終えて、いつも思うことがある。「もったいないなあ」と。立派につくってもらった展示会場も、終わればすっかり解体される。大量に印刷したチラシやポスター、特注の陳列棚や台座、バナー、ときには展示室に置くベンチを新たにつくることもあるが、祭りが終わればすべてが廃棄物となる。ステキな展覧会が実現できて「作家としてのわたし」はうれしいけれど、後始末もせずにさっさと退散というのは、「人間としてのわたし」としては、なんだか悔いが残る。

そこで考えた。展覧会が終わった後の始末にも想像力をたくましくしてはどうだろうか、と。芸術家なんだから、なにごとにおいても想像力をたくましくするのは悪くないはずだ。

こうして思いついたのが「展覧会の後始末計画」つまり「アート・シマツ」である。展覧会が終わったあと、捨てられるのを待つだけのさまざまな廃棄物を、 日々の生活に役立つものとしてふたたび活かせないものだろうか。斬新な展覧会を企画することも、展覧会の「アート・シマツ」に工夫をこらすことも、ミュゼオロジー(博物館学)の一貫としてとらえてみたいと思うのだ。

展覧会が終わっても、まだまだ、おもしろいことがつづく。なかなかいいんじゃないだろうか。なにかの終わりは、なにかの始まりだってよく言うじゃないか。(森村泰昌)


#京都市京セラ美術館 YouTube 京都市京セラ美術館開館1周年記念展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」展示記録(2022/09/09)

「アート・シマツ」プロジェクト 特設サイト
https://www.1101.com/n/s/art-shimatsu_morimura/index.html

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